
武蔵野美術大学は、前身である帝国美術学校の開校(1929年)以来、絵画、彫刻などのファインアート、デザインの全領域、建築、映像、さらには芸術文化、美学・美術史にいたる美術・デザインの専門領域の総合化を進めてきました。1973年には大学院造形研究科修士課程を開設し、学部での制作や研究をさらに継続・深化させる場として、その環境の整備や強化に取り組んでいきます。そして2004年には、この大学院造形研究科に博士後期課程を設置しました。
現在博士後期課程には、1年生5名、2年生5名、3年生8名の、合計18名が在籍し、個々のテーマによる制作や研究が進められています。「造形芸術」一専攻ですが、ここには「作品制作」「環境形成」「美術理論」の3つの研究領域が設定されています。修士課程とは異なる研究領域の設定により、自らの専門性を再確認するとともに、各領域が相互にオーバーラップしていくことが期待されます。
そしてそのことが大学院、ひいては大学全体にとって重要なことだと考えられます。武蔵野美術大学は、この博士後期課程を設置することによって、学部から大学院へといたる教育課程の最上位が明確に位置づけられたことになります。これは教育課程の垂直構造化を促すとともに、優秀な修了者を輩出することによって、大学全体のレベルアップへとつながることを意味しています。ですからとくに博士後期課程においては、修士課程からさらにスケールアップしたかたちで、全学的にこれを支える体制をとっています。
一方、博士前期課程に相当する修士課程には、現在、1・2年生あわせて209名(美術専攻116名、デザイン専攻93名)が在籍しています。これまでは学部の延長のような形式をとってきましたが、博士後期課程の開設によって、新たな再編成に向けた検討も始められています。そこでは、学部から大学院修士課程までの6年間にわたる一貫した教育をめざす試みも浮上しています。
修士課程、博士後期課程に共通して、大学院においては、各学生のテーマにしたがって個々の研究を深めていくとともに、学内の共同研究や産官学協同研究などにも積極的に参加し、総合的な研究力を高めていくことが期待されます。造形する人びとが集う美術大学の大学院は、他領域の大学院とは異なる魅力をもち、多くの領域に開かれ、高い横断性の中で制作や研究を展開する武蔵野美術大学の大学院は、他の美術大学の大学院とも異なる魅力をもっています。
